tamonoki020701

 

→今回のレジュメについて

  前回のレジュメ作成時に生じた疑問点に基づき、今回は、

栃木県総合教育センター

栃木県教育委員会

 の2ヶ所で、県内の教育の現状について、総合的な学習の時間についてのお話を伺ってきた。

 

 

栃木県総合教育センター 研究調査部 での取材

〇総合教育センターの概要について

 幼稚園から高校までの教職員研修の中核的機関、本県の生涯学習推進の拠点。

 

〇センターとして、新しい学習指導要領、特に総合的な学習の時間についてどのように関わっているか。

 センターは、教員に対しての研修や情報提供、また、プロジェクトを組んで調査研究を行うところである。学校をサポートする立場で、一緒にやっていこうという、協力のスタンスをとっている。総合的な学習の時間においては、平成11年度にセンターにおいて理論の構築を行い、これに基づいて翌12年度に県内の小学校5校、中学校3校の協力を得て、実践を行った。

 “生きる力”を育むための総合的な学習の時間は、目標や学習内容が定められておらず、各学校が独自にカリキュラムを組むことのできる自由なものであるがゆえに、地域や子供の実態に基づいて、目標を立て、年間計画や評価の方法等を各学校で模索していかなければならない。

 今年度末、総合的な学習の時間について各校にアンケートを行う予定であるが、この結果や研修者の声(アンケート)をもとに現場のニーズにそった研修*が行えるよう、メニューは毎年見直しを行う。

*基本研修・・・初任者研修(総合的な学習の時間についてはメニューの中の「学習指導」で)

5年目研修/10年目研修/20年目研修

 

〇新しい学習指導要領の本格実施へ向けた、平成12年度及び13年度(移行期間)における、総合的な学習の時間への取り組みの成果について

カリキュラムには、系統立てて(学年を通して)、というものもあれば、横に並ぶようなものもあり、週に何時間、とコンスタントに取り組む学校もあれば、行事などその地域の事情によって、期間を集中して設けているところなど、学校によって様々。

目の前にいる子供たちにつけさせたい能力に基づいてカリキュラムを組むことには、柔軟性とともに難しさがある。

 活動については、取り組みを進めていく中で、随時軌道修正をはかっていく。

子供たちの評価については、成果がすぐに見えてくるものではないので、活動を通して子供たちひとりひとりが変わっていった様子など、その子のよさを積極的に見取っていくことが大切である。

 

総合的な学習の時間については、学校として子どもたちにどのような資質や能力を身に付けさせたいか、そのためにどのように取り組んでいくか、という方針がはっきりしていないと、カリキュラムを組むのは非常に大変。

 

 

栃木県教育委員会事務局 義務教育課 指導担当 指導主事 野中和明さんのお話2002.6.27

〇国から下りてきた「新しい学習指導要領」、特に「総合的な学習の時間」について、県として、何か独自の色を加える、特色を打ち出すようなことは行っているか。

 「総合的な学習の時間」について、県としての特色を打ち出すことは行わない。飽くまで、子供たちごと、地域ごと、各学校独自で行うもの。

ただ、間違った方向には進まないように指導を行う。例えば、これまで特別活動として行ってきた遠足を、そのまま、総合的な学習の時間に当てようとしたり、この時間に教科の学習をさせたりするようなもの。

しかし、市町村によっては、各学校で差がでないようにするため、この時間に英会話の活動を行うように、としているところもある。

また、この夏から5年間をかけて教育課程研究集会が、教育事務所ごとに行われるが、この会は、教員同士による、教科ごとの課題解決へ向けての情報交換を目的としており、今回、ここに新たに、総合的な学習の時間についての部会も加わった。

 

〇新しい学習指導要領の、今年度(平成14年度)からの本格実施にあたり、昨年度、一昨年度と、これに向けた取り組みが行われているが、これの成果について

 平成12年度、並びに13年度は、新しい学習指導要領実施へ向けての移行期間であって、平成13年度について言えば、総合的な学習の時間の実施率は、小学校、中学校ともに100%であった。

各市町村から1校、指定校を選出し、活動の成果を実践事例集として、県の教育委員会としてまとめた。指定校については、全体とのバランスによって選出されているため、これらの学校が必ずしも、他校に比べて、総合的な学習の時間への取り組みが先進的である、というわけではない。

 

総合的な学習の時間で学習する内容等について(複数可)

 

 

 

 

 

児童の興味・関心

地域や学校の特色

 

 

国際理解

情報

環境

福祉・健康

に基づく課題

に応じた課題

その他

小学校

337

278

375

363

312

358

 

中学校

67

35

93

72

117

128

24

 (平成13年度)

注:対象は、県内の全小学校432校、中学校175

 

〇各学校の、総合的な学習の時間への具体的な取り組みの内容の開示、評価、見直しはどのようになっているか。

 各学校に任せているが、今年度より、小学校及び中学校の設置基準が変わり、設置基準の概要において、

 

(2) 自己評価等(第2条)

@ 小学校等は、その教育水準の向上を図り、当該小学校等の目的を実現するため、当該小学校等の教育活動その他の学校運営の状況について自ら点検及び評価を行い、その結果を公表するよう努めるものとしたこと(第1項)。

A @の点検及び評価を行うに当たっては、適切な項目を設定して行うものとしたこと(第2項)。

(3) 情報の積極的な提供(第3条)

   小学校等は、当該小学校等の教育活動その他の学校運営の状況について、保護者等に対して積極的に情報を提供するものとしたこと。

小学校設置基準及び中学校設置基準の制定等について(通知)より

 

となっており、(2)では努力規定、(3)では義務規定として、各学校の教育活動について、主に保護者、また地域に対しての公表が規定されている。ここで、各学校で異なる活動、各学校の特色となると、やはりメインとなるのは、総合的な学習の時間における活動内容であろう。

 

〇総合的な学習の時間に、講師を招くなど、外部の力(市民活動団体、NPO等)の活用について

互いのニーズや考え方、また、時間など、折り合いをつけるのが難しいため、外部の人に入ってもらうのはなかなか難しい。このため、普段の指導は、学校の先生を中心に行われている。

また、こうしたことは、主に市町村ごとに行っているが、生涯学習課や総合教育センターにも人財バンクのようなものがあって、先生方にはこれを活用してもらうなどしている。

※ 市町村における例

石橋町・・・グリムサポーターバンク

大田原市立市野沢小学校・・・教師、保護者の協力で、地域ボランティアの積極的な強力を得、地域ぐるみで総合的な学習の時間に取り組む。

 

〇今後について

“自分の学校ではこういう子供を育てるのだ”という教育全般に関する目標・方針を、校長が中心となってしっかりしたものを確立してもらえるような指導に、今後も力を入れていく。

 また、常に外部からの評価を受けながら、進学といった目先の目的ではなく、生きていくための、生きる力としての“学力”を問うていく。

 

 

 

参照サイト

栃木県教育委員会ホームページ

http://www.tochigi-c.ed.jp/top/index.htm

とちぎ学びの杜 栃木県総合教育センター

http://www.edu-c.pref.tochigi.jp/index.htm